Rigaku Life

研究室に行ってみた!

分子組み合わせて何つくろう!?分子の可能性を広げた新・合成方法

八木先生アイキャッチ

 新しい分子を作ると聞くと、未知の世界が広がっているようでワクワクします!名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所(WPI-ITbM)の八木亜樹子先生にお話を伺い、分子合成の最先端の世界を覗いてきました。

八木先生1

 分子の性質には、溶解性、導電性、蛍光特性など本当に様々な種類があります。最終的な分子がもつ性質をイメージしながら、ブロックを組み立てるように分子の合成を行います。たとえば、アルコールやアセトン、ヘキサンといった有機溶媒への溶解性を上げるとすれば、それと相性の良い分子、たとえばベンゼン環をもつ芳香族分子を付け足す、というように合成を目指します。一方、作りたい分子は有機溶媒への溶解性だけを考えるわけではありません。欲しい性質が複雑になってくると、「光り方が変ってしまった」とか「分子が不安定になってしまった」など、全てが理想通りの分子を作ることはとても難しいそうです。

八木先生2

 分子反応の多くは溶液中の方が制御しやすいため、 たとえば有機溶媒に対する溶解性は応用性を高める上でとても重要です。八木先生の研究室で新たに合成した分子の一つに、『アダマンタン縮環芳香族分子』があります。ダイヤモンド構造の炭素分子に、なんと芳香族分子が結合しています。有機溶媒に溶けるダイヤモンド、と考えるととても不思議です 。さらにこの方法は、ダイヤモンド構造と芳香族分子のどちらかを他の分子に置き換えることもでき、応用が効く新たな合成方法として道が開かれました。

アダマンタン縮環 絵

「今回は小さい分子として作りましたが、炭素材料は何万倍、何十万倍と大きくすることができます。もっと大きいものをどんどん作り、その性質を調べてみたいです」

 大きければ大きいほど反応する場所が増えます。そうすると、反応の制御が難しくなります。さらに、電気的なプラスマイナスや電子の軌道、取り付ける分子の大きさとバランスなど、多くの難しさが発生します。それでも、「できないと言われていることに楽しみがある」と笑顔で話します。八木先生の熱意に感動し、今後の新たな分子合成の研究をとても楽しみに思いました。

(文・大久保結実)

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