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実験装置の開発・改良を技術面から支える

工藤 哲也

本学の全学技術センター、そこに所属する技術職員達はさまざまな技術分野に精通しており、大学の教育・研究を支援している。支援内容は、コンピューター・ネットワークの運用管理、試料の表面や組成分析、観測装置の設置・データ収集など多岐にわたる。

その一つ、「実験装置の設計・開発・製作」によって研究成果の創出をサポートする部門が、私の所属する装置開発技術支援室である。研究者との打ち合わせを通して、これまでにない新しい実験をするための装置製作や、既存の実験装置の改良設計が主な仕事である。そのために、材料を機械加工して部品を実際につくり、既製品の追加工や改造をする。そのほか、研究者が当センターの機械を安全に扱えるための工作実習や、電子回路等機器制御、ガラス工作など、実験装置に関する幅広いサポートを行っている。

このような組織に勤めているが、学生時代は、理学部物理学科・大学院理学研究科博士前期課程の3年間、理論系の研究室に所属していた。工学系でもなければ、研究のために工作実習を受ける機会の多い実験系研究室の出身ですらなく、就職以前には機械設計や加工などには全く触れたことがなかったのである。持論だが「大学での専攻や研究室選択は自分の興味で選択するものであり、就職で有利不利はあっても絶対的なものではないはず」と考えていた。そのため、就職のことはあまり意識せずに、自分が大学で学びたかったことを専攻に選んでいた。その後の就職活動の際、現在の職場にて募集がかかっており、その業務内容を見て惹かれ就職を希望した。機械知識ゼロという厳しいスタートになることを覚悟の上で応募した結果、無事採用されて現在に至っている。

採用後は研鑽を積み、機械や装置について勉強を重ねている。業務が多岐にわたっており、必要になる知識もそれぞれ違うため、常に勉強中の身である。たとえば、現在私が継続的に関わっている業務の一つ、素粒子分野の観測機器搭載用大型与圧容器の設計製作では、気球打ち上げ時にかかる横方向の加速度や観測後の降下中にパラシュートを開くときの衝撃などによって破壊されないようにするための構造力学、実験の肝となる与圧性能のための真空工学、その他にも構造解析に用いるソフトウエアの使用方法、さらには大型実験装置の実際の取り扱いが必要になるなど、これまでとは異なる新しい事柄や分野が多くあり、なかなか成果を出せず苦労することもまた多い。これからも業務に応じた知識や経験は必要になるため、新しい技術を学び続けていくことは必須と考えている。

上記以外にも依頼業務はさまざまであり、その分苦労も多くなる。反面、多種多様な研究者とかかわり、いろいろな研究についての話を聞くことは、純粋に楽しいものである。その楽しさを享受しながらも、それだけでは終わらないよう自己研鑽を積み、数多くの実験研究に対して効果的な支援ができるよう励みたい。

工藤 哲也

全学技術センター 装置開発技術支援室 研究機器開発技術グループ

2012年3月名古屋大学理学部物理学科卒業。2014年3月名古屋大学大学院理学研究科素粒子宇宙物理学専攻修了。2014年4月名古屋大学技術職員(機械)として採用、名古屋大学全学技術センター教育・研究技術支援室装置開発技術系第二装置開発グループ(現・名古屋大学全学技術センター装置開発技術支援室極限環境機器開発技術グループ)へ配属。2019年4月研究機器開発技術グループへ異動。現在に至る。

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