HSCをはじめとする弱重力レンズサーベイによるS8の測定から、標準宇宙模型の綻びが見え始めてきた。2020年代は、欧州が主導するEuclid望遠鏡、米国が主導するVera C. Rubin Observatory’s Legacy Survey of Space and Time (LSST)と Nancy Grace Roman宇宙望遠鏡によるさらに大規模な弱重力レンズサーベイが計画されている。私たちはこれらのサーベイへのアクセス権をすでに獲得しており、HSCで得られた弱重力レンズ解析のノウハウを生かして、これらの将来サーベイにおいても主導的役割を担うことを目指している。また、2020年代にはSimons Observatoryなどの新たなCMBサーベイが計画されており、遠方銀河とCMB重力レンズ効果を用いた遠方宇宙の大規模構造の測定も推進していく。これらの測定によって、標準宇宙模型を超える理論が発見され、現代物理学の大転換が起こるかもしれない。今後の観測的宇宙論の進展にご注目いただきたい。